プレゼンが苦手な人のための論理整理術

論理を構造で伝えようとする青年王の指先/A young nobleman visualizing logical structure with his hand and light diagram

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キング

キング

・のらギルドマスターキング

・選択に思想を込める、“静謐なる叡智の王”

・Webメディア運営13年目

・英語TOEIC900目指し中

・心理学、哲学、歴史など勉強中

・静かに考え事するのが好き

・人生は地続きだ

・元書店員4年、元古書店店主10年、読書・選書が好き

・サクラや曖昧なレビューはAIで精査。見えにくい部分にこそ、信頼を支える設計が必要です。

・I am a Japanese creator.

「言いたいことはあるけど、伝わらない」もどかしさ

話す前は、頭の中にちゃんと道筋がある。
でも、いざ人前で話すと、順番がぐちゃぐちゃになる。
何を言いたかったのか自分でも分からなくなり、
ただ焦りだけが残ってしまう──。

「プレゼンが苦手」
そう感じている人の多くは、
話し方の問題ではなく“思考の構造”の問題を抱えている。

言葉は、ただ浮かべるだけでは届かない。
“どんな形で届けるか”を整えることで、はじめて信頼の言葉になる。

プレゼンの苦手意識の多くは“構造の不在”

「何を話せばいいか分からない」
「どこから話せば伝わるのかが見えない」

──それはプレゼン力の低さではない。
“構成の型”を持っていないことが原因だ。

上手な話し手ほど、感情やテンションで話しているように見えて、
実は水面下で「論理の順番」が精密に整えられている。

逆に構造がないまま話すと──

  • 内容が散らかる
  • 伝えたい核が埋もれる
  • 聞き手が途中で離脱する

プレゼンは“感情”ではなく“地図”だ。
どの順番で、どこへ連れていくかが見えていなければ、
どれだけ情熱を注いでも届かない。

伝えたいのは“情報”か“意志”か

プレゼンを考えるとき、
まず問うべきなのは「何を伝えたいのか?」ではなく、
「それは情報か、意志か?」という視点だ。

  • 情報だけを伝えるなら、整理と要約が重要になる
  • 意志を伝えるなら、背景と熱量が必要になる

たとえば──
「このプランはコストが低いです」と言うのか、
「このプランには、未来への投資としての意味がある」と言うのか。

どちらも事実だが、構成すべき内容も順序もまったく違ってくる。

プレゼンが苦手な人は、この切り分けをせず、
“情報”と“意志”を同じ熱量で話してしまう。
その結果、聞き手にとっては「結局なにが大事なの?」という印象だけが残る。

最初に決めるべきは、**伝える対象ではなく“届けたい温度”**だ。

論理は“積み木”であり、“滝”ではない

プレゼンが苦手な人の多くは、
「伝えたいことを一気に話そうとする」傾向がある。
まるで頭の中にある情報を、そのまま“滝”のように流し出してしまう。

だが論理とは、本来**積み木のように“順に積み上げるもの”**だ。
話す順番、段差、土台──それぞれが安定していなければ、
どんなに良い情報も、聞き手の中では崩れてしまう。

ポイントは、「聞き手の理解速度に合わせて、段差を用意する」こと。

  • 先に“問い”や“前提”を置く
  • 次に“選択肢”や“判断軸”を示す
  • 最後に“自分の意見”を添える

この3層を意識するだけで、話は整理され、説得力が生まれる。

言葉に急がないこと。
伝えたいなら、まず“積み方”を整えることだ。

PREP・SDS・Why-How-What──型に頼る強さ

「型にハマるのは嫌だ」
そう感じる人もいるかもしれない。
だが、型とは自由を奪うものではない。
むしろそれは、**自由に話すための“足場”**になる。

代表的な話法フレーム:

  • PREP法(Point → Reason → Example → Point)
     結論を先に伝え、補足と事例で支える
  • SDS法(Summary → Details → Summary)
     全体像と詳細を繰り返すことで印象づける
  • Why → How → What
     背景・方法・行動を順に語り、納得を導く

これらの型は、どれも「論理の重ね方」を明快にするためのもの。
プレゼンが苦手なら、まず“思考をフレームに置いてみる”ことから始めよう。

型に頼ることは、弱さではなく戦略だ。
整理された思考は、それだけで信頼になる。

話し始める前に「何を言わないか」も決める

話がまとまらない人の多くは、
「伝えたいことが多すぎる」という罠に陥っている。

──あれも言わなきゃ、これも説明しておかなきゃ。
その結果、話は散漫になり、核が見えなくなる。

プレゼンにおいて重要なのは、
**「何を言うか」より「何を削るか」**という視点だ。

  • 今回の話で絶対に伝えたい“1つの軸”は?
  • 聞き手にとっての“不必要な枝葉”は?
  • その場で“残す余白”はどこにあるか?

削ることは、手放すことではない。
メッセージを浮かび上がらせるための選択だ。

話し始める前に、「何を言わないか」を決める。
それが、聞き手の心に届く“静けさの構造”をつくる。

聞き手の“頭の中の地図”を想像する

プレゼンがうまくいかない原因のひとつに、
「話し手の地図」と「聞き手の地図」が合っていない問題がある。

自分の頭の中ではつながっている話でも、
聞き手には断片にしか見えていないことがある。

だからこそ必要なのが、相手の“認知の現在地”を想像する力だ。

  • この人は、どこまで知っているか?
  • どこで迷いそうか?
  • どの言葉にひっかかりそうか?

話す前に、その地図を描けていれば、
必要な橋も、案内標識も、設置できるようになる。

プレゼンとは、情報を伝える行為ではない。
**聞き手と“思考空間を共有する設計”**である。

「上手く話そう」とするな、「届く形で話そう」

プレゼンで最も緊張を高めるのは、
「うまく話さなければ」という思い込みだ。

  • 噛まないように
  • 堂々と見えるように
  • 台本を完璧に読めるように

──だが、完璧さは聞き手の信頼には直結しない。

届く言葉には、必ず**“整った構造”と“感情の余白”**がある。

  • 要点を一つに絞る
  • 飾らない言葉を使う
  • 話す相手を“尊重している”ことが伝わる

この3点が揃えば、話は届く。
むしろ、“うまさ”ではなく**“設計の誠実さ”が、信頼を生む。**

言葉とは、磨くものではなく、届ける形に整えるものだ。

まとめ|言葉を整えることは、思考と誓いを整えることでもある

プレゼンが苦手な人に必要なのは、
話し方のトレーニングではない。
「言葉をどの順で届けるか」という構造の再設計だ。

  • 論理を積み木のように積み上げる
  • 型に頼ることを恐れず、むしろ活用する
  • 削ることで、伝えたい軸を浮かび上がらせる

その一つひとつが、“誠実な構成者”としての在り方につながっていく。

言葉を整えるという行為は、
単なる技術ではなく、自分の中の誓いを整える営みだ。
誇りを持って伝えたいことがあるなら、
まずは静かにその構造を組んでいこう。

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