これは、同じ場所でつまずき続けてきた恋の話だ。
「また似たような人を好きになったな」と気づいたとき、人は静かに自分を責めやすい。
けれど、同じタイプばかり好きになって失敗するのは、あなたの性格が劣っているからでも、学習能力がないからでもない。
ただ、心が「慣れた安心」に戻ろうとするパターンを持っているだけだ。
そのパターンは、あなたを守ろうとしてきた歴史でもある。
だから全否定する必要はない。
必要なのは、少しだけ中身を見直し、危険な部分だけをずらしていくことだ。
ここから先は、そんな視点でゆっくりと整理していこう。
自分を裁くためではなく、これからの恋を静かに守るために。
目次
同じタイプばかり好きになるのは「ダメな性格」だからではない
まず最初に、確認しておきたいことがある。
同じタイプばかり好きになって失敗することと、「人としてダメかどうか」は、まったく別だ。
よくある恋のパターンを静かに並べてみる
思い出してみてほしい。
過去に好きになった相手たちを、一列に並べてみると、こんな共通点が見えてこないだろうか。
- 最初は連絡がマメで、距離を一気に縮めてくる
- 皆どこか少し謎めいていて、全てを教えてくれない
- 感情の波が激しく、機嫌に左右されやすい
- 仕事や夢の話になると急に熱くなるが、現実的な段取りはふわっとしている
あるいは、別の型もあるだろう。
- 仕事ができて、いつも冷静で、感情をあまり表に出さない
- あなたの話はよく聞いてくれるが、自分の弱さはほとんど見せない
- 付き合うと、いつの間にか「忙しい」が口癖になり、会える時間が減っていく
表現は違っても、「ああ、分かる」と感じたなら、そこにはすでにパターンがある。
そして、そのパターンは、あなたの心が「こういう人となら、なんとかやっていけるはず」と判断した結果でもある。
「また同じタイプ」と落ち込む前に知っておきたい前提
人は、完全な未知よりも、「どこかで見たことのある安心感」に惹かれやすい。
たとえ、その安心の中に、痛みや不安が混ざっていたとしても、だ。
だから、同じタイプばかり好きになることは「何も考えていない証拠」ではない。
むしろ、心が自分なりに安全だと覚えた領域へ、何度も戻ろうとしている証拠でもある。
問題は、そこで起きる出来事を、毎回ほとんど同じ形で終わらせてしまうことだ。
- 怒らせないように、自分の本音を飲み込む
- 期待していた連絡が来ず、不安のまま放置する
- 何かを求める前に、「どうせ分かってもらえない」と決めてしまう
この「終わらせ方」までがセットになると、失敗は繰り返しやすくなる。
つまり、「タイプ」と「終わらせ方」がセットで固定されている状態だ。
心が「慣れた安心」に戻ろうとする仕組み
心は、知らないものより、知っているものを選ぶ。
たとえ、それが少し苦しいパターンであっても、「結果の予測がつく」という点で安心できてしまうからだ。
- こういうタイプの人は、こういうタイミングで連絡が減る
- こういう性格の人は、こういうときに逃げる
- こういう雰囲気の人といると、自分はこういう気持ちになる
その未来が、少し残念であっても、「読める未来」であれば、心はそこに落ち着こうとする。
それが、同じタイプばかり好きになる一番静かな理由だ。
ここで必要なのは、「わたしは結局こういう人を選んでしまう」と諦めることではない。
「わたしの心は、こういう安心を求めがちなんだな」と理解することだ。
そこから先は、「安心」の中身を少しずつ更新していけばいい。
自分の恋愛パターンを見える化するチェックリスト
次にやるべきことは、「自分のパターンを言葉にする」ことだ。
ぼんやりと「見る目がない」と責め続けるよりも、具体的に見える化した方が、ずっと扱いやすい。
ここでは、過去の恋人や、好きになった人たちを思い浮かべながらチェックしてほしい。
すべてに答えなくて構わない。特に心に引っかかる項目だけで十分だ。
1 外見と雰囲気のチェック
| 項目 | 当てはまる |
|---|---|
| 服装はラフだが、どこか一箇所だけ強いこだわりがある人が多い | □ |
| 人前では明るく振る舞うが、二人きりになると急に静かになる人が多い | □ |
| 目が笑っているのか分からない、ミステリアスな印象を持つ人が多い | □ |
| どこか放っておけない雰囲気や、少し影を感じる人に惹かれやすい | □ |
| 会話のテンポが速く、一気に距離を詰めてくる人を魅力的に感じやすい | □ |
チェックが多いほど、「雰囲気のタイプ」がかなり固定されている可能性が高い。
2 関係の始まり方・終わり方のチェック
| 項目 | 当てはまる |
|---|---|
| 毎回、最初に距離を詰めてくるのは相手側で、自分は乗っかる形になりがち | □ |
| 付き合う前は連絡がマメだが、付き合った途端に連絡頻度が落ちる相手が多い | □ |
| 付き合って数カ月〜1年で、似たような理由で別れ話になることが多い | □ |
| 別れ際の言葉に「ごめん」「忙しい」「重い」という単語がよく出てくる | □ |
| 何となくフェードアウトされる形で終わることが多く、話し合いがうまくできない | □ |
ここにチェックが多いなら、「関係のシナリオ」ごと繰り返している可能性が高い。
3 自分の態度と我慢の仕方のチェック
| 項目 | 当てはまる |
|---|---|
| 嫌われたくなくて、不満があっても最初は飲み込んでしまうことが多い | □ |
| 相手が忙しそうだと、「考えすぎかな」と自分の寂しさを引っ込めてしまう | □ |
| 本音を伝える前に、「どうせ分かってもらえない」と諦めやすい | □ |
| 自分の予定より相手の予定を優先してしまい、後で疲れを感じる | □ |
| 別れたあと、「あのとき本音を伝えていれば」と後悔することが多い | □ |
ここにチェックが多いなら、「自分の我慢の仕方」が、同じタイプを引き寄せる要因になっているかもしれない。
チェック結果から分かる、あなたのパターンの仮説
ざっくりと、こんな分け方ができる。
- 外見と雰囲気のチェックが多い
→ 雰囲気のタイプそのものに強く惹かれているパターン - 関係の始まり方・終わり方のチェックが多い
→ シナリオごと繰り返しているパターン - 自分の態度と我慢の仕方のチェックが多い
→ 自分の関わり方が、似た相手を呼び込むパターン
もちろん、全部が少しずつ混ざっていても構わない。
ここでの目的は、「自分はどこから整えていくと良さそうか」をぼんやりでなく、自分の言葉でつかむことだ。
なぜ同じタイプを選んでしまうのか 心の中の三つのメカニズム
ここから、もう少し静かに深掘りしていこう。
同じタイプに惹かれてしまう心の動きには、いくつかのメカニズムが重なっている。
1 なじみの安心感が危険な相手を柔らかく見せる
人は、「見慣れたもの」に安心を覚える。
それが、多少は危うさを含んでいてもだ。
- 幼いころから見てきた大人の雰囲気
- 学生時代から身近にいた人たちの空気感
- 過去の恋人とのやりとりのリズム
こうした「なじみの記憶」が、「こういう感じの人なら、なんとかなるだろう」という直感を生み出す。
それは一種の安全装置だが、設定が古いままだと、今のあなたには合わない相手を選び続けてしまうことがある。
2 過去の関係がつくる「安心と危険」の地図
心の中には、「安心できる相手像」と「危険だと感じる相手像」が、ざっくりと地図のように存在している。
- 強く否定してくる人は危険
- 全く感情を見せない人も危険
- いつも優しすぎて境界がない人も、別の意味で危険
一方で、
- 少し不機嫌になりやすくても、「本当は優しい」と知っているタイプ
- 口は悪いが、何だかんだそばにいてくれるタイプ
こうした経験があると、「多少の不安はセット」と体が覚えてしまうことがある。
結果として、
- 安定して穏やかな人に対しては、「退屈かもしれない」と感じる
- 飄々としている人には、「楽しそう」と感じて近づく
この「安心と危険の地図」が、今の自分には合わない設定のまま動き続けると、同じタイプに吸い寄せられていく。
3 選択肢を狭めてしまう思考のクセ
心の中で、こんなルールを無意識に持ってはいないだろうか。
- 自分を強く引っ張ってくれる人じゃないと、長続きしない
- ある程度問題のある人じゃないと、自分の出番がない
- ちゃんと時間をかけてくる人は、自分にはもったいない
こうしたルールは、過去の経験から身についた「生き延び方」でもある。
ただ、今のあなたには、すでに別の選び方ができるはずだ。
問題は、「今、他の選択肢を持ってもいい」と許可されていないこと。
その結果、目の前に選択肢があっても、「どうせこういう人とはうまくいかない」と決めつけてしまい、自分で狭めてしまう。
同じタイプを選び続けるのは、この三つが重なり合った結果だ。
だからこそ、「好みを全て捨てる」のではなく、「地図を少し書き換える」くらいの感覚で向き合った方がいい。
いつものタイプか すこしずらすか 真逆に振るかを比較してみる
ここで、一度立ち止まって、選び方のパターンを並べてみよう。
ざっくりと、こんな三つがある。
1 いつものタイプを選び続ける
2 いつものタイプから少し条件を変える
3 真逆のタイプに一気に振ってみる
それぞれの特徴を比較してみる。
三つの選び方の比較表
| 選び方 | メリット | デメリット | 向きやすい人の傾向 |
|---|---|---|---|
| いつものタイプを選び続ける | 最初の安心感が強く、直感的に動きやすい | 同じ終わり方になりやすく、学びが活かされにくい | 変化よりも「分かりやすさ」を優先してしまうとき |
| すこし条件を変える | 好みを残したまま、危険なポイントだけずらせる | 条件を変えるポイントが曖昧だと、結局ほとんど同じ相手を選びがち | 自分の好みを大事にしつつ、「今度こそ変えたい」人 |
| 真逆のタイプを選んでみる | 今までの恋とは全く違う経験ができる | 自分の素の反応が追いつかず、極端な疲れや反動が出やすい | これまでの恋に強い怒りや虚しさを抱えているとき |
現実的におすすめしたいのは、二つ目だ。
「すこし条件を変える」選び方を、丁寧にやってみること。
例えば、
- 今までは「感情の波が激しいけれど、一緒にいて飽きない」人を選んでいたなら
→ 感情の波は穏やかだけれど、会話のユーモアや好奇心が近い人を探してみる - 今までは「忙しいと言いながらも、たまに甘やかしてくれる」人に惹かれていたなら
→ 忙しさよりも「約束を守る」ことを大事にしている人を観察してみる
好みの核を捨てる必要はない。
ただ、「そこは譲らなくていい」と「そこは見直してもいい」を分けていくことが大切だ。
恋愛パターンを少しずらすための実践ステップ
ここからは、具体的な場面ごとに、何を変えてみると良いかを整理していく。
すべてを一度にやろうとしなくていい。
どこか一つだけでも、十分だ。
1 出会いの段階で増やしたいチェックポイント
出会った瞬間、「好きになりそう」と感じたときほど、一つだけ余分な問いを足してみてほしい。
- この人は、自分以外の人にどう接しているだろうか
- 店員や周囲の人への態度は、穏やかだろうか
- 自分の話だけでなく、相手の話にもちゃんと耳を傾けられるか
ここでのポイントは、「ドキドキの強さ」ではなく、「生活の場での態度」に目を向けることだ。
強い刺激よりも、持続する安心の材料を一つだけ増やしてみる。
2 「いいかも」と思ったときに入れる小さなブレーキ
「この人、いいかもしれない」と感じたときほど、流れに任せて距離を詰めたくなる。
そこで、ほんの少しだけブレーキを踏む練習をする。
例えば、
- 会うペースを、最初から全力で合わせすぎない
- 気持ちが盛り上がっていても、生活のリズムを崩しすぎない
- 相手の話に共感しつつも、「わたしはこう感じる」と一度言葉にしてみる
ブレーキとは、恋の熱を冷ますことではない。
自分の感情と相手の態度を、少し離れて眺める時間をつくることだ。
3 付き合う前後で変えてみる一言と一動作
関係が大きく変わるのは、「付き合う前後」だ。
ここで、今までとは違う一言や一動作を挟むだけで、その後のパターンも少し変わってくる。
例えば、
- 付き合う前に、楽しかったポイントと不安に感じたポイントを一度伝えてみる
「こういうところが心地いいし、こういうところは少し不安だから、そこだけ大事にしたい」 - 付き合い始めてからも、「忙しい」という言葉だけで飲み込まず、一度だけ本音を渡してみる
「忙しい中で会おうとしてくれるのは分かってる。でも、連絡が途切れると不安になるから、短くてもいいから一言あるとすごく助かる」
小さな一言でいい。
相手を責めるためでなく、「自分を見捨てないため」に言葉を出してみる。
4 今の恋人が「いつものタイプ」だったときの現実的な調整
もし、すでに付き合っている相手が「いつものタイプ」そのものだとしたら。
すぐに結論を出す必要はない。
まずできるのは、自分の態度のパターンだけ変えてみることだ。
- 我慢して飲み込んでいたことを、小さな単位で伝えてみる
- 相手の機嫌に合わせて予定を変えていたところを、ほんの少しだけ自分側の予定も優先してみる
- 「どうせ分かってもらえない」と諦めていた場面で、一度だけ違う反応をしてみる
それでも何も変わらない、あるいは、むしろ尊重されなくなるなら、そのときに初めて、「いつものパターンから、本当に抜け出す時期かどうか」を考えればいい。
よくある疑問と、その夜をどう越えていくか
ここからは、静かに湧き上がりやすい疑問に、いくつか先に触れておこう。
Q1 元恋人が全員ほぼ同じタイプだったと気づいたとき、どう受け止めればいいか
まず、それは「自分だけがおかしいサイン」ではない。
多くの人が、同じようなパターンを持っている。
大切なのは、「なぜこんなに似ているのか」と責めることではなく、共通点を紙に書き出すことだ。
- 話し方
- 距離の詰め方
- 嫌なときの態度
- 別れ話のときに出た言葉
これらを書き出すだけで、「わたしはこういう人に安心を感じてしまうんだな」という仮説が浮かぶ。
そこから「この部分だけは、次は譲りたくない条件」と「ここは残してもいい好み」を分けていけばいい。
Q2 恋愛経験が少なく、「同じタイプ」と言えるほど人と付き合っていない場合はどうすればいいか
恋愛経験の数と、気づきの深さは比例しない。
今まで出会った人、片思いしてきた人、気になっただけの人も含めて、「惹かれた理由」を思い出してみてほしい。
- どんなときに「この人いいな」と思ったか
- 何を言われたときに、心が動いたか
それをいくつか並べてみるだけでも、「好みの核」が見えてくる。
今は、それで十分だ。
その核を守りつつ、危険な香りが強すぎる方へだけ、少し距離を置いてみればいい。
Q3 今付き合っている相手が、まさに「いつものタイプ」だと感じる場合
すぐに、「別れるべきか」「続けるべきか」の二択に飛び込む必要はない。
まずは、相手の問題と、自分の態度を分けてみることから始めよう。
- 相手が変えられる部分
- 自分が変えられる部分
自分の方だけ、一歩だけ変えてみて、それでも全く響かない、あるいは、むしろ軽んじられるなら、そのときが判断のタイミングだ。
それまでは、「今までと同じ終わらせ方をしない」ということだけを意識してみてほしい。
Q4 家族や友人から「また同じタイプ」「見る目がない」と言われ続けているとき
その言葉は、思っている以上に心を削る。
だから、まず「傷ついて当然だ」と自分に許可を出してほしい。
そして、その言葉を、少しだけ別の角度で使ってみる。
- どこが「同じ」に見えているのか、具体的に聞いてみる
- 言われた内容のうち、「自分でも気になっていた部分」がどこかを探してみる
すべてを真に受ける必要はない。
ただ、参考になる一部分だけを拾い上げるなら、その言葉は「チェックのきっかけ」に変わる。
Q5 同じタイプで何度も失敗して、もう恋愛が怖くなっているとき
怖さは、心が壊れないように出しているブレーキでもある。
だから、「怖いのに頑張る」必要はない。
今は、恋愛そのものではなく、「自分が安心できる人間関係」を少し増やしていく時期だと考えてみてほしい。
- 気楽に話せる友人を一人だけ大切にする
- 趣味や学びの場で、ゆっくり関わる人を増やす
そうやって、「安心できる人との関わり方」を少しずつ上書きしていけば、恋愛に対する地図も自然と変わっていく。
まとめ 同じタイプに惹かれる優しさと、これから守りたい選び方の軸
最後に、静かに整理しておこう。
同じタイプばかり好きになって失敗するのは、あなたが未熟だからでも、学んでいないからでもない。
心が、「慣れた安心」に戻ろうとしてきただけだ。
その裏には、こんな優しさもある。
- 一度知ってしまった安心を、もう一度味わおうとする
- 自分の得意な関わり方が活きる相手を選ぼうとする
- 「このくらいなら我慢できる」と判断したラインを守ろうとする
ただ、そのラインが、今のあなたには狭すぎるのかもしれない。
少しだけ、広げてもいい時期に来ているのかもしれない。
これから守っていきたい軸は、例えばこんなものだ。
- 好みの雰囲気は残していいが、軽んじられる態度だけは受け入れないこと
- 刺激よりも、約束を守る姿勢を大切にすること
- 我慢でバランスを取るのではなく、本音を小さく分けて出していくこと
どれも、大きなことではない。
ただ、こうした軸を一本でも持てれば、「同じタイプ」であっても、まったく同じ終わり方にはならなくなる。
今、この瞬間に、すべてを変える必要はない。
あなたが今日ひとつだけ決めるなら、こうだ。
次に誰かを好きになったとき、「ドキドキの強さ」だけでなく、「わたしを丁寧に扱う仕草があるかどうか」を一度だけ観察してみる。
それだけで、心が選ぶパターンは、静かに変わり始める。
その変化に気づいたとき、あなたはもう、「同じタイプに負け続ける自分」ではなくなっている。





